店長などの管理職は労働基準法の管理監督者?
小売業や飲食業などのチェーン店では、店長等の少数の正社員と多数のアルバイト・パート等により運営されているケースが多くあります。
この店舗の店長等は、労働基準法第41条第2号に規定する「管理監督若しくは管理の地位にある者」にあたるのでしょうか?
その判断の基準は、平成20年9月9日に厚生労働省労働基準局より出された通達(基発第0909001号「他店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の適正化について」)において、以下のように示されています。
管理監督者の範囲のみなおしについて
「管理監督者」は労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいいます。また労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限をうけません。
つまり「管理監督者」に当てはまるかどうかは、役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務状態等の実態によって判断します。
- 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容と責任の権限を有しているかどうか
管理監督者性が否定される重要な要素
- 店舗で採用するパート・アルバイト等の採用に関する責任と権限がない
- 店舗に勤務するパート・アルバイト等の解雇に関する事項が職務内容に含まれていない。また、実際に解雇に関与しない。
- 人事評価制度がある企業において、その対象となっている部下の人事考課に関する事項が職務内容に含まれておらず、実際に関与しない
- 店舗におけるシフト表の作成又は所定外労働時間(残業)の命令を行なう責任と権限が実際にない
・・・等が管理監督者性の否定要素として考えられます。
- 現実の勤務状態も、労働時間等の規制になじまないようなものであるかどうか
管理監督者性が否定される重要な要素
- 遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課でマイナス評価などの不利な取扱いがされる
- 営業時間中は、店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等の人員が不足する場合にそれら者の業務に自ら従事しなければならないなどにより長時間労働を余儀なくされているように、実際には労働時間に関する裁量がほとんど認められない
- 管理監督者としての職務もおこなうが、会社から配布されたマニュアルに従って業務を行なっているなど労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務形態が労働時間の大半を占めている
・・・等が管理監督者性の否定要素として考えられます。
- 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされているかどうか
管理監督者性が否定される重要な要素
- 基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分でなく、労働者の保護に欠けるおそれがあると認められる
- 1年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職等の特別の事情がないにもかかわらず、他店舗を含めた社内の一般労働者の賃金と同額程度以下である
- 実態として長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金の額が、店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない。時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない。
・・・等が管理監督者性の否定要素として考えられます。