社会保険労務士をお探しの経営者様・ご人事担当者様へ

労働基準監督署や行政の調査への対応

調査に臨むにあたって

調査に臨むにあたってしてはならないこと

労働基準監督署の調査対応にあたって、次のようなことは行ってはなりません

行ってはならないこと
  1. 勤怠データの改ざん
  2. 賃金台帳の改ざん
  3. 労働者への偽りの証言の強要
  4. 書類の隠ぺい

改ざん等を行ってもパソコンを調査された際や税務上の帳票との相違、労働者からの申告などによって発覚します。悪質なケースは書類送検されることがあります。

労働基準法第120条4号

労働基準監督官又は女性主管局長若しくはその指定する所属官吏の臨検を拒み、妨げ、若しくは忌避し、その尋問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出をした者は、30万円以下の罰金に処する。

書類送検事例

平成25 年4 月から平成26 年3 月までの1 年間に,東京労働局と管下18 労働基準監督署・支署では,合計58 件の司法事件を東京地方検察庁へ送検しました。
送検した事業場の件数は前年度より4 件減少し,業種別の内訳では,建設業が16 件(27.6%)と最も多く,次いで運輸交通業が8 件(13.8%),製造業が5 件(8.6%)でした。
また,違反事項別では,死亡災害等を契機とした危険防止措置義務違反が15 件(25.9%),賃金・退職金不払が11 件(19.0%)などでした。
送検の端緒は,被害労働者等からの告訴・告発によるものが27 件(46.6%)に上りました。

賃金不払いによる書類送検の例(平成25 年度送検事例)
労働基準法・最低賃金法違反
Case1
立川市で学習塾を営む法人及びその代表者は,労働者8 名に対し,平成25 年6 月1 日から同年同月30 日までの賃金総額869,590 円を,所定支払日である平成25 年7 月12 日に支払わず,もって東京都最低賃金時間額850 円以上の賃金を支払わなかったもの。
平成25 年9 月17 日,元労働者から,立川労働基準監督署に対し申告があったことを契機に行政指導を行ったが,是正し なかったことから捜査に着手し,最低賃金法違反が明らかとなった平成25 年6 月分の賃金不払 について書類送検したもの。
Case2
東京都千代田区に本社を置くログハウスの建設等を行う事業者2 社は,労働基準法で労働者に少なくとも週に1 回の休日を与えることを義務づけられているにも関わらず,自らが施工する工事現場において,ベトナム人技能実習生に1 週1 回の休日を与えることなく違法に就労させていた事実が判明した。
本件は,開発途上国等の経済発展・産業振興の担い手となる人材の育成を行うため,我が国の進んだ技能・技術・知識の修得等を目的とした外国人技能実習制度における同実習生に対する違法な休日労働の事案である。
危険防止措置義務違反
Case3
平成24 年8 月4 日,会社の物流センターにおいて,労働者が荷の検数作業中,バックしてきた同社の下請労働者が運転するフォークリフトに接触し,右足かかとの裂傷の傷害を負う休業4日以上を要する労働災害が発生した。
労働安全衛生法では,休業4 日以上を要する労働災害について,遅滞なく,所轄労働基準監督署長に労働者死傷病報告の提出を義務づけているが,捜査の結果,物流センター所長は,事故を隠蔽するため,労働者死傷病報告を大田労働基準監督署に対し提出しなかったことが判明した。
Case4
東京都江東区内の清掃工場焼却炉補修等工事現場において,平成25 年1 月10 日,現場の下請業者が労働者に廃熱ボイラー内部の清掃作業を行わせるにあたり,当該労働者が現場に設けられた架設通路から約3 メートル下のスクリューコンベアに墜落してスクリューに巻き込まれ,同日に死亡した。
捜査の結果,被疑者は,墜落のおそれのある箇所に手すり等の設備を設けずに架設通路を労働者に使用させて作業を行わせていたことが判明した。
労災かくし
Case5
平成25 年8 月8 日,東京都西東京市の木造2階建住宅建築工事現場において,労働者3 名が1 階梁上(高さ3 メートル)で桁を組み込む作業中,中心となっていた桁との間にバールをかましてハンマーでバールを叩いたところ,3 名が桁ごと落下し,骨折等の負傷を負うという労働災害が発生した。元請会社及び下請会社は,それぞれ高さ3 メートルの箇所で桁を組み込む作業において,労働者の墜落による危険を防止するために,防網(安全ネット)を張り,労働者に安全帯を使用させるなどの措置を講じなかった。
また,元請会社は,当該作業は,軒の高さが5メートル以上の木造建築物の構造部材の組立作業であったのに,安全帯等の使用状況の監視等をする「木造建築物の組立て等作業主任者」を選任しないまま作業を行っていたことが判明したことから,被災した労働者3名のうち1名が所属していた元請会社と2名が所属していた下請会社をそれぞれ,労働安全衛生法違反として送検したものである。
定期賃金不払い
Case6
(定期賃金不払いによる書類送検)
A社は、平成○年2月16日から同年9月15日までの間に勤務した労働者合計18名に対する2ヶ月ないし7ヶ月の賃金合計約1,975万円を支払わなかったものである。被害は全国の労働者に及び、同期間に勤務した886名、総額約3億800万円が各月の所定期日に支払われず、同年12月末で事実上倒産となったものである。
Case7
(再三の是正勧告を無視し、賃金不払を繰り返すB社を定期賃金不払で書類送検)
B社は、競売不動産物件にかかる情報誌の出版業を営んでいたものであるが、労働者6名に対する平成○年7月21日から同年10月20日までの3か月分の賃金合計約204万円をそれぞれの所定支払期日に支払わなかったものである。
B社は、労働者からの賃金支払請求に応じず、労働基準監督署の再三にわたる行政指導にも応じなかったものである。
Case8
(外国人技能実習生に法定の割増賃金を支払わず書類送検)
C社は中国人技能実習生2名にかかる時間外割増賃金について、平成○年11月から平成×年5月までの7ヶ月間に、延べ530時間にわたって法定の時間外労働を行わせながら、一律1時間400円の単価で計算した時間外手当しか支払わなかったもの。
また、平成×年4月に、被疑会社に臨検した労働基準監督官に虚偽の陳述を行い、虚偽の賃金台帳、労働時間記録の提出を行ったもの。
虚偽報告による書類送検
Case9
(監督官に虚偽の帳簿書類を提出した容疑で書類送検)
D社は、平成○年5月、労働基準法第101条の規定に基づき被疑会社営業所に臨検した労働基準監督官2名に対し、虚偽記載の報告書等を提出したものである。